肘折系こけし 遠刈田系こけし 津軽系こけし 鳴子系こけし 蔵王系こけし
土陽系こけし 木地山系こけし 作並系こけし 弥治郎系こけし 山形系こけし

やまがたの伝統こけし

伝統こけしとは

伝統こけしは、木材をロクロにかけて挽き、伝統的な模様を描いたものであり、代々父祖や師匠の制作方法、形態、面相、頭部や同模様を引き継ぎながら、さらに時代に応じて各工人の工夫も加えながらその系統を守って制作されるこけしを言います。

現在、そのこけしは10とも11系統とも言われていますが、すべて東北地方のみに発生したものであります。

系統

蔵王系こけし

蔵王系 ざおうけい

山形県蔵王温泉

遠刈田系ににた形態で胴が太め。頭は赤い放射線の飾りか黒いおかっぱが多い。胴模様は、かさね菊、桜崩しを描く。遠刈田系の影響をうけて発達した系統。

肘折系こけし

肘折系 ひじおりけい

山形県肘折温泉

鳴子、遠刈田両系の影響をうけ発達した系統で独特の味がある。胴は、鳴子のように肩がはったほぼ直胴型。頭は赤い放射線を描き、胴は重ね菊が多い。

山形系こけし

山形系 やまがたけい

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山形県の山形市ではじまり、米沢市や天童市などでも作られている。頭は小さく胴は細め。桜や4弁の梅の花の模様のほか、県花の紅花が描かれたものも多い。

津軽系こけし

津軽系 つがるけい

青森県温湯温泉 大鰐温泉

構造は、頭と胴を一本の木から作る作り付け式構造で、頭ははやや小さく、おかっぱの黒頭が多い。胴はねぶたのダルマ絵を描くものもあるが、アイヌ式の模様もある。

木地山系こけし

木地山系 きじやまけい

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頭と胴が一本の木で作られる、作り付け式の構造で、簡素な着物模様が特徴で、前だれが代表的な模様である。頭部は、前髪と赤いてがらを描く。

土湯系こけし

土湯系 つちゆけい

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胴は一般に細目で中央部がややふくらんでいる。模様は簡素な、細いロクロ線を組み合わせたもの。頭も比較的小さく、頭頂に黒い蛇ノ目模様を描き、大きな前髪の両側に、赤いかせを描く。

弥治郎系こけし

弥治郎系 やじろうけい

宮城県白石市弥治郎

胴は、遠刈田系より太目で直銅が多いが、中ほどがくびれたものもある。模様はは、黄色地に、えり、すそ、ロクロ線などを描く。頭は胴より大きく、頭頂にロクロ線が何本も描かれ、ベレー帽のように見える。

遠刈田系こけし

遠刈田系 とおがったけい

宮城県遠刈田温泉が中心

胴は円柱型で首のところで細くなる。頭は胴に比して大きく、頭頂に放射状の模様、胴模様は、かさね菊が多く、他に木目、桜崩し、梅等もある。

作並系こけし

作並系 さくなみけい

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宮城県の作並温泉ではじまり、仙台市、秋保温泉などでも作られている。胴体にはカニに似たカニ菊模様を描くことが多い。

鳴子系こけし

鳴子系 なるこけい

宮城県鳴子温泉

胴は太く、肩とすそがはり、中央部がややへこんだ弓なりの形状、、模様は華麗な菊や楓を描く。頭は胴よりやや大きめ、御所人形のような前髪とかせが描かれている。

伝統こけし系統マップ

伝統こけし系統マップ

山形県 伝統こけし工人系統マップ

山形県 伝統こけし工人系統マップ

材料

こけしの材料は、均質、緻密、堅くて木肌が白く美しいものがよいとされています。主に、ミズキ、イタヤ、アオカ等が使われますが、他に、椿、桜、ケヤキ、槐、ビヤベラ等も使われます。

材料
<写真>左からミズキ、イタヤカエデ、サクラ、ケヤキ

構造

構造

みちのくこけしまつり

みちのくの風土に生まれ育った「伝統こけし」の鑑賞とその振興発展、後継者の育成、山形への観光誘致などを図るため、昭和57年(1982)に第1回を開催しました。宮城県白石市の「全日本こけしコンクール」、宮城県鳴子町の「全国こけしまつり」と並び日本三大こけしコンクールと呼ばれ、毎年秋頃に開催を予定しています。
伝統こけし、木地玩具の展示・即売や、実演工人による展示・即売のほか、誰でも楽しめる絵付け体験コーナーが実施されます。
みちのくこけしまつり歴代受賞作品は、みちのくこけし協会が所蔵しています。

コレクション

コレクション

収蔵数

約6,700点
(こけし・木地玩具・その他資料 平成30年2月1日現在)

収蔵内容

「小野 洸(おの たけし)」コレクション

こけし・木地玩具・書籍 約5,600点/平成2年寄贈
こけし愛好家には常に工人さんを訪ね歩き交流される方は多いが、背景となっている東北の山野を隅なく歩き、こけしの生まれた世界を知る希有なこけし「蒐集家」が小野洸氏です。小野氏の趣味は広く、音楽、美術工芸、山歩き、民族研究など多岐に及び、秀眉は山とこけしでした。
明治40年(1907)東京都牛込で出生。東京高専工芸図案課(現千葉大)を出るとコロンビアレコード、主婦の友で天分を発揮し、戦後も出版編集、デザイナーとして活躍されました。培った美術的鑑識眼は鋭かったが、晩年まで大正ロマンチズムの香りを漂わせおしゃれでダンディな方でした。ご両親が山形県出身であったことから、こけし、木地玩具、文献などの全収集品を山形市に寄付されました。
平成7年(1996) 1月に亡くなられました。(享年87歳)

「柴田 長吉郎(しばた ちょうきちろう)」コレクション

こけし 約500点/平成17年寄贈
大正12年(1923)、兵庫県高砂市で出生。東京大学物理学科理学博士、大同工業大学応用電子工学教授、新日本無線㈱常務取締役などを歴任されました。
また、東京こけし友の会・こけし手帖の編集などに、長い間関わり活躍し、こけし蒐集暦は50年以上に及びます。
その蒐集と研究の成果を「山形のこけし」(箕輪新一氏と共著)に書き表し、昭和56年に山形テレビより出版され、これが機会となって、みちのくこけしまつりが誕生しました。そして、草創より顧問として尽力されてきました。
平成27年(2015) 12月に亡くなられました。(享年92歳)

「柴田 一(しばた はじめ)」コレクション

こけし・書籍 約450点/平成19年寄贈
大正末からの収集で、天江コレクション・武井コレクション(消失)と並び、日本最初のこけしコレクションとして有名です。特に昭和4年頃に頒布した小椋久四朗、小林倉吉、荒井金七などを含む、大正末~昭和初期のこけし群がコレクションの中核をなし、貴重なものが多い。その中の一部は、杉本寿著「東北山村の聚落構造」の口絵に掲載されています。
柴田氏は山形の自然や風土を愛し、こけしの普及やこけし工人の育成、並びに紅花や郷土玩具の振興などに努められ、「山形県こけし会」の初代会長として、また日本民芸協会山形県会長などを務め、全日本こけしコンクール(白石市)や全国こけしまつり(鳴子町)の審査員として活躍されるとともに、こけし界発展に尽くされました。
昭和51年(1976)7月に亡くなられました。(享年76歳)

「名和 好子(なわ よしこ)」コレクション

こけし 110点/平成9年寄贈
東京都赤坂の美容家で、所有の「名和コレクション」のうち、山形県にゆかりの深い伝統こけしをそれぞれのこけしを「ふるさと」に帰したいという名和氏の意向を受け山形市に寄贈したものです。これらのこけしは、すべて戦前からまもなく作られたものばかりで、資料的にきわめて貴重なものです。名和氏は、夫明行氏と共に日本の伝統工芸に深い関心を寄せ、戦後の伝統こけし復活に大きな足跡を残されました。
平成6年(1994)に亡くなられました。(享年74歳)

収蔵伝統こけしの貸出

山形市所蔵の伝統こけしは、一般公開を目的にした展示会等にお貸しいたします。貴重な美術作品でもあり、展示には貸出条件がありますので、希望者は下記までお問い合わせ下さい。